武庫川遊水地工事現場に潜入!
こんにちは、前畑です!
近年、大雨による災害が多くなってきていますね。
実は1970〜80年代に比べると100mm/h以上の大雨の降る回数が2.4倍に増えているそうなんです!
昔は緑や土が多く、雨が降っても山や田畑が水を溜めてくれていたのに対し、今は市街化が進み降った雨水がすぐに川に流れ込んでいる現状。
そのため、水害を防止するために「ながす」「ためる」「そなえる」を組み合わせた総合治水という考え方が必要になってきています。
具体的には、、、
1.ながす
川や下水道で流せる水の量を増やすためにダムや河川などの整備を行います。
2.ためる
森を守るのはもちろん、雨水が一気に川に流れ込むのを防ぐためにため池を活用したり、雨水を学校の校庭に溜めたり、家庭で雨水タンクを設置したりします。
3.そなえる
大雨が降った時に被害を小さくするために防災訓練や防災学習をします。自分が住んでいる地域はどの程度浸水するのか、川の水位を知ることで、急な災害でも対処することができます。
今回はそんな総合治水に欠かせない河川の整備である武庫川遊水地の工事現場に行ってきました。
さっそく、おなじみの兵庫県の「兵」の文字がデザインされたヘルメットをかぶって現場へ行ってみたいと思います。
今回取材させていただく現場は、神戸市北区の武庫川遊水地です!
今、武庫川の下流部では流下能力の低い区間があり、人々がより安全に暮らすための整備が必要となっています。
昭和58年台風10号を契機に昭和62年から河川改修工事を行い、下流部の最も流下能力が低い箇所でその能力が1.7倍に向上したのですが、平成16年台風23号でこれを上回る洪水が発生してしまいました。
そこで、さらなる対策のひとつとして遊水地を造ることに。
ちなみに遊水地は洪水が起きた際に、一旦その洪水の一部を溜めることによって、下流に流れる水を減らす施設です。
工事は武庫川の中流域で行われています。
下流域の人々が安全に暮らせるように、中流域の人々の協力も得ながらの工事がすすめられているんですね。
まずはその1工事の現場へ!
上から見るとこんな感じ。
さっそく階段を降りていきます。
ここは地面を削ったり遊水池の施設を造ったりする現場です。
そしてその付近では、何やら手作業をしている人を発見!
見せてもらうと思わず持って帰りたくなるようなかわいらしい手のひらサイズのコンクリートブロックが!
これはスペーサーという鉄筋コンクリートの厚みを確保するために使うもので、実際に使用されいている現場はこんな感じです。
斜面には鉄筋がずらりと組まれており、所々にスペーサーが見えます。
ちなみにこの斜面は越流堤と呼ばれ、川の水を遊水地に入れるためのもの。
この現場ではスペーサーを1万個も使用するようです!
現場にも山積みになっていました。
積まれている姿も可愛い♪
続いて水を流すトンネルの工事。
骨組みがとてもかっこいいです☆
このトンネルは遊水地に入ってきた水を川に戻すための重要なもの。
完成時には埋まってしまう構造なので、頑丈な造りになっています。
完成図はこちら。
赤で囲まれたところがトンネル部分です。
さらに進むとトロッコのようなものが4つ並んでいるのが見えました。
4つはパイプでつながっていて、工事で発生した濁り水をここに溜め、その水を徐々にろ過して濁りを取り除き河川に流すためのもの。
中はとっても深いです。
さらに真ん中の2つにはバイオログフィルターという天然ヤシ繊維で造られたフィルターが設置されています。
濁りを逃さなさそうなしっかりした造りのフィルターが10本も設置されています。
ナンバーの字体が手書きでかわいらしい♪
お次はその2工事!
ここは地面を掘る作業と管理用通路の整備をしています。
地面を掘るためのショベルカーを発見!!!
普段、なかなか近くで見ることがないので、早速行って見ることに!
オペレーターさんがお掃除をされていました。
愛車精神を感じます♪
削りたての地面の様子です。
気になるショベルカーの中は?
手で動かすハンドルが2本と足で動かすペダルが2本。
これを使って前後に進んだりショベルを動かしています。
まるでドラムみたい。。。
感覚をつかむまでは操作も難しそうですね。
私も運転席に座らせていただきました!
運転席の位置が高いので、普段見ているより景色が広く見えます。
そして右側にはモニターもありました。
「うさぎマーク!!!!??」
左側にかわいらしいうさぎのマークがついたボタンがあります!
押したい衝動を抑え、このボタンの意味をお聞きしました。
実はこれ、ショベルカーが進む時の速度を表しているんです。
早い時は液晶にうさぎマーク、遅い時はかめマークが点灯。
遊び心いっぱいでショベルカーが大好きになりました。
ちなみにショベル部分はこんなにも巨大!
私もすっぽり入ってしまうほど!
ここではICT土工を取り入れた工事をしています。
ICT土工とは、ドローンやレーザーを使用することによって三次元的に現場を捉えて施工するという工事の方法。
この技術を使うと作業効率が上がり、若い技術者でも正確に作業ができるようになるそうです。
兵庫県では試行導入として、ここを含め3か所でICTを使った工事を行っています。
みてください!メカメカしていて、めちゃくちゃかっこいいドローンです。
「ブーン!!!」
音を立てながらゆっくり飛んでいくドローン。
二人一組で協力しあいながら飛ばします。
一人は操縦。もう一人は撮影担当。
ドローンで撮影した写真がこちら!
工事現場が全部見渡せます!
上から見た工事現場もため息が出るほどかっこいいですね!
中心を流れているのが武庫川。奥に見える道路が新名神。
ちなみに武庫川遊水地の完成図はこちら。
平成31年の2月完成予定です。
武庫川遊水地は私も数年前、武庫川沿いに住んでいたことがあったので、こういった土木工事のおかげで安心して暮らせていたんだなと実感しました。
昨年、石井ダムは見学したのですが、それ以外にも水害を防ぐために遊水地やため池の活用など様々な対策をしていることに驚きました。
私たちもいざという時のために防災学習・訓練など「そなえる」ことを理解して備えておくことが大切だと思いました。
<おまけ>
実は今回の工事現場、旧福知山線の廃線跡の名残があるんです。
現在、道路として使用されている真ん中の道はもともとの線路跡。
さらに進んでいくと煉瓦造りの橋台を発見しました!
昔はここを鉄道が走っていたんですね〜。