県道小野藍本線 松沢バイパス 橋梁の上部工工事の現場に潜入!
土木と聞くとみなさんは何を思い浮かべますか?
ダムや道路などもありますが、「橋」を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか?
でも、橋ってどのようにして架けるの?
ということで、今回は橋梁の上部工工事の現場に潜入してきました!
向かった先は工事中の県道小野藍本線のバイパス。
現在、車が走っている道は幅員狭小なため、バイパスを作ることにより、安全で円滑な交通を確保するとともに、歩道を設置することで、歩行者の安全を確保することを目的として工事を行なっています。
現場に到着すると、なんと橋を架けている真っ最中!
急いでヘルメットを装着し、駆けつけます!
この時だけかぶることのできる「兵」の文字が素敵なヘルメット。
今回は黄色のラインが入っています。
運命なのか、偶然なのか、全く同じ色の服を着ていたのでびっくり。
ちなみにこのヘルメット、毎回カラーリングが違うので、取材時のちょっとした楽しみになっています。
大きなクレーンの音と、工事をしている方々の声が響き渡ります。
位置が合っているか、何度も作業をストップしては、声を掛け合いながら慎重に調整していきます。
緊張感のある空気が漂っています。
少しのズレも許されない、大変な作業。
設置された橋は、工事中なのに、向こう側から車が走ってきそうな気がします。
次は横桁の設置。
この橋と橋の間に設置していきます。
こちらが横桁。
クレーンで吊って運び、ボルトを締めて設置していきます。
この作業も声を掛け合いながら慎重に進めていきます。
作業されている方々の息はぴったり。
今、見ている橋、一体どのように架かるのか、気になりますよね!?
ということで、上から見てみましょう!
現在の様子はこんな感じ。
今後、上の写真の黄色の線状に橋が架かっていきます。
ここで、今回の工事の工程をご紹介します。
① 橋桁製作。
鋼の板を溶接で組み合わせ、橋桁の部品を作っていきます。
ちなみにこちらは、千葉県市原市の工場で半年かけて作られます。
中が空洞になっていて、作業や点検で人が入れるようになっている箱桁。
こちらのカーブしているものは主桁。
② 完成したものを現場に運びます
完成した橋桁は工場からトレーラーと貨物船で兵庫県小野市の現場まで運搬します。
写真の橋桁、外側が錆びているように見えるのですが、、、。
不思議に思い、現場の方にお聞きすると、あらかじめわざと錆びている状態にすることにより、これ以上の錆びの侵食を防ぎ、なんと100年間も保たせることができるそうなんです。
家などで見られる、表面を炭化させて耐久性をあげる「焼炭板」のようですね。
③ ベント設備や支承を設置します
ベント設備は、写真の真ん中と左側にある、工事中に一時的に橋桁を支えるための鋼製の設備のこと。
支承は、橋の上部構造と下部構造の間に設置する部材のことで、振動を受け止めるためにゴムが使用されています。
ちなみにゴム支承は耐震性に優れていることから、震災に備え、使用する例が増えているそう。
④ 大型クレーンを組み立てて、橋桁を架設します
向こう岸の橋脚の奥にあるのが200t吊クレーン。
青い箱のようなものは、170tもあるクレーンの重り。
運転席、キャタピラなど、それぞれ巨大なため、別々に運んで1日かけて組み立てます。
⑤ 橋桁の上にコンクリートを打って、舗装して完成
あとは白線を引いたり、標識をつけたりと、様々な付属工事をして仕上がります。
橋の断面はこんな感じ。
このように①〜⑤の工程を経て、橋が完成します。
さらに工事現場を見ていきましょう。
こちらは対岸に見える、どっしりとした造りの橋台。
「もっと間近で見てみたい」ということで、対岸へ行ってみました!
対岸では、ベント設備や法面の工事中。
いろんな重機が動いている姿がかっこよくて、見ているだけでときめきます。
奥の方では、横桁がクレーンで吊るされているのが見えてきました。
橋桁の中が作業用に空洞になっているのもよくわかりますね。
こちらは護岸工事の様子。
法面を保護するコンクリートブロックが菱形になっています。
現場では「ダイヤカット」と呼ばれていました。
鉄の棒で連結し、設置していきます。
機能性を重視して造られているのですが、このように同じ形が連続している姿は息を呑む美しさ。
思わず写真に撮りたくなってしまいます。
橋台の部分の法面が菱形になっているのは、水が流れやすくするためなんだそう。
私たちが普段、何気なく見ているものでも、一つ一つ、全てに意味があるんですね。
そしていよいよ、間近で見てみたかった橋台に到着。
見てください、この造形美!
実は私、土木構造物は、完成してからも見応えがあるので好きなのですが、工事中にしか見ることのできない「この姿がどうやって完成形になっていくんだろう」と好奇心をくすぐるこのような完成前の姿もたまらなく好きなんです。
真ん中には支承の台座も見つけました。
ちなみに、橋台にあるこの柵のようなものは何だと思いますか?
コンクリートで型を取っていくと、、、
じゃーん!!
橋の親柱が登場しました。
この橋の名前はまだ決まっていないんだそう。
どんな名前になるかすごく楽しみですね。
今回の現場に潜入して、橋を架けるために、私たちの見えないところで、いろんな工程を経て造られていくことがわかりました。
安全であることは当たり前。
そう思いがちですが、その当たり前をいろんな技術を駆使して作り上げていく人がいる。
そして忘れてはいけないのは、完成したら終わりではないということ。
造った後も、安全に使用できるように点検や修理を継続していく。
今までいろんな事例を元に試行錯誤の末できた技術のバトンは、過去から未来に受け継がれていくものなんだなと感じました。
最後に本日ご案内していただいた、加東土木事務所と施工業者のみなさんと記念写真。
ご案内してくださったみなさん、ありがとうございました!