高橋川高潮対策工事に潜入!
今回は高橋川高潮対策工事に潜入してきました!
高橋川高潮対策工事とは「兵庫県 高潮対策10箇年計画〜高潮災害に備える防災対策」の一環で行われている工事のこと。
みなさんは高潮をご存知ですよね?
台風などで発達した低気圧の接近によって、海面が異常に上昇する現象のこと。
高潮になると湾奥部や河口部、海抜0メートル地帯などに危険が及ぶ可能性が高くなります。
実際に県内でも昭和9年の室戸台風や平成30年の台風第21号など、広範囲で大きな浸水被害がありました。
今後の高潮に備えるために進めているのがこの対策。
河川だけでなく、海岸も含め工事が徐々に行われています。
工事期間は川の水が増水する時期を避け、11月から5月末まで行われます。
さっそく現場を見にいきたいと思います!
ここは阪神深江駅付近。時折、阪神電車が通る音が聞こえてきます。
まずはすでに工事が令和2年3月に完了しているエリアへ。
ここは高橋川。
ゆっくりと水が流れています。
海からの水も入ってくるため、潮の満ち引きによって、川の流れが逆になるんだそう。
流れがかわるなんて、おもしろいですね。
写真の堤防の上部が白くなっているのがわかりますか?
これが今回工事によって嵩上げされた部分です。
更に下の白い部分は、護岸の強度を増すために補強されています。
写真の左にあるのは水門。
近づいてみると広場になっており、水門がどっしりと構えています。
この水門の下は暗渠になっています。
さらに嵩上げされた部分に寄ってみると段々になっていますが、もともとの堤防の高さに合わせながら工事されているのがわかりますね。
ちなみにこれは陸閘(りっこう)と呼ばれる施設。
普段は人が行き来できるように空いているのですが、高潮で危険が迫ってきた場合、この門を閉めて防潮堤の役割となり町を守ります。
こちらは手動で稼働するのですが、中には遠隔操作で開閉するものもあるんだそう。
ちなみに川や海があるエリアの橋には、このように板が貼られていることがあるのですが、これも高潮対策で、水が入ってこないようにするもの。
よく見ると、様々な対策が行われているんですね。
完成直後の白さが素敵。
橋の下を覗くと、なにやら鉄板のようなものが沈んでいるのを発見しました。
これは逆流防止ゲートと呼ばれる、水圧により上下し、ゲートの高さを調節するためのもの。
稼働した跡が壁に刻み込まれています。
何度も稼働しているのがわかりますよね。
奥の方には、現在工事を行なっている現場を見ることができます。
ちなみにここは最後のお楽しみ。
さらに川を進んでいくと、ここも工事が完了したエリア。
こちらの護岸もコンクリートなのですが、表面がまるで石みたいなデザインになっています。
ちなみにこのような型は他にも種類があるそうなので、チェックしてみるのも面白いですね。
最後は、いよいよ先ほど見えた工事現場へ。
この時だけかぶることのできる「兵」の文字が素敵なヘルメットを装着!
場所によってラインのカラーが違うのですが、今回は黒色でかっこいいです。
ここが現在高潮対策で右岸下流側で腹付けパラペット工をしている現場。
腹付は土台部分、パラペットは堤防などに用いられる堤体上の低い壁のこと。堅壁とも呼ばれています。
気になる工程はこちら
①ヤードの設置
クレーンを使って一つずつ土のうを設置していきます。
今回使用する土のうの数はなんと200個弱。
②土のうを敷き詰めたら土を盛り、川の水が流れるように排水路を設置。その後、鉄板を敷きます。
しっかり水が止まっていますね。
横から見るとこんな感じ。
排水路がよく見えますね。
③コアボーリング削孔
コアビットと呼ばれる棒状の機械を使って穴を開けていきます。
④足場を組み立てます
⑤鉄筋を挿入し、補強や補修のために使われるモルタルであるクラウトを注入します。
⑥パラペットを設置するための足場と鉄筋、型枠を組み立てていきます。
⑦コンクリートを打設後に養生
その後、型枠を外して完成!
さっそく足場に潜入していきます!
階段を降りていくと、パイプがずらりと並ぶ空間がなんとも美くしい。
右側には、縁の下の力持ちである大きな土のうがびっしり。
余談ですが、土のう袋は防水ではないのですが、目が細かいので中の土が流れ出ることはないんだそう。
私の手と比較すると、その大きさがわかります。
この土のう、一体どれぐらいの重さがあると思いますか?
なんと一つ1.5トンもあるんです!
今回の工事現場は、川幅が狭く、水の高さも1.8メートルあるので、水を締め切る土のうを水が流れる状態で設置する作業が一番大変だったそうです。
水が出てこないように、隙間なく敷き詰めるのも難しそうですね。
しかも、工事が完了すると、また引き上げないといけないのも大変な作業。
ちなみに今までは下流側の工事。
上流の擁壁護岸施工工事の進め方もご紹介します。
①作業をする場所へ行くための仮設進入路を造ります。
②河川内の進入路のため排水路を設置。
①と②は下流の工事と同じですね。
③仮設進入路等が完了したら、ショベルカーを使って掘削していきます。
④重力式擁壁の型枠を組み立てていきます。
⑤コンクリートを打設していきます
⑥型枠を外していきます
⑦埋め戻しをして、整地し、コンクリートを打設します
⑧完成
一ヶ所の工事でも、様々な工程があるんですね。
日本は災害が多い島国。
今回、高潮対策の工事の現場に潜入し、水に面する場所でも安全に暮らせるように多くの対策が各地で行われていることを知りました。
本当にいろんな人の力によって私たちの安全が守られているんですね。
最後にご案内してくださったみなさま、ありがとうございました。