女子的土木散策レポート

Report

2018.01.31

法面工事の現場に潜入!

みなさん、こんにちは!

皆さんは法面(のりめん)工事を見たことはありますか?

今回レポートした法面工事は、住宅の裏山などで急な斜面が崩れないように保護するために行う工事で、急傾斜地崩壊対策事業として実施されています。
急傾斜地崩壊対策事業は、本来なら斜面の持ち主が行うべき工事を、多くの人命に影響する斜面に限って行政が行うことができる事業です。

今回はそんな法面工事の法枠工(のりわくこう)施工の現場に潜入してきました!

工事が行われているのは神戸市にある前山地区。

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遠くからでも急斜面なのがよくわかります。
斜面の下には、住宅が一杯建ち並んでいます。
こんな斜面が崩れてしまったら大変なことになってしまいますね。

工事現場には専用の通路や物資を運ぶためのモノレールが設置されています。

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さっそくおなじみの兵庫県ヘルメットを装着して現場へ向かいます!

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階段を登っていくとそこには、、、

じゃ〜ん!!!

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ここが法面工事の現場!!
かなり高い場所なのがわかりますか??
思わず足がすくんでしまう程の高さです!

それでは、法面工事の工程をご紹介♪

法枠工施工の工程は、、、

①仮設防護柵の設置1
工事による落石や落下物から斜面下の家屋を防護するために設置します。1仮設防護柵の設置1

見てください!この急斜面!この場所はかなりの急斜面で家屋との距離もとても近い場所なので、柵の設置だけでも大変!

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柵の上から見ると、いかに家屋と近いかがわかります。

仮設防護柵作業状況

ちなみにこの写真は仮設防護柵を設置するための作業風景。
ものすごい急斜面なのがわかりますね!作業されている方は本当にすごいです!

②伐採工
仮設防護柵の設置が終わると次に斜面を不安定にさせている大木や、工事をするための支障となる立木を伐採していきます。

2伐採工

  • 仮設防護柵の設置2

立木の伐採が終わったら、次に先ほど①で作った柵よりもう少し上の場所に柵を作り、二重にすることで、より安全に配慮しています。

3仮設防護柵の設置2

④ラス張り
ラスとは金網のこと。
斜面にラスを設置することによって、最後の工程で行う枠内に緑化するための基盤材(種子と土壌材)の保持に役立ちます。

4ラス張り

斜面はまっすぐではないので、ラスを張る作業も難しそうです。

⑤枠の組み立て
法枠(断面30㎝×30㎝)を吹付けするための枠を斜面に設置します。

5枠の組立て

まるで迷路のような現場!
法面の枠って以外と高さがあるんですね〜!

⑥モルタル吹付工
セメントと砂と水を混合したモルタルを圧縮空気によって、吹付けし、法枠を造ります。

6モルタル吹付工

どんどん枠ができてきていますね。

枠の中の青いシートは後々緑化をするので、モルタルが付かないように養生の役目をしています。

ちなみに吹き付けが終わった枠内はこんな感じ。

植生工差替写真

この土の部分には種が入っているので、これからどんどん緑が増えていきます。
元の山のある景観をなるべく損なわないような配慮なんですね。

ちなみに枠の部分には穴が空いています。

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これは枠内に雨水が溜まらないように設けた水抜き穴なんです。

⑦削孔工(さっこうこう)
鉄筋を挿入するために孔を掘ります。

7削孔工

機械を使ってどんどん穴を開けていきます。

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「ガガガガガ!!!!!」と大きな音を上げ、どんどん穴を掘っていきます。
砂煙もすごいです。

どんどん掘っていく機械の先端を見せてもらいました。

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先端は結構ごつい感じになっています。

⑧完成
削孔した孔に鉄筋を挿入し、頭部処理をして完成です。

完成状況差替写真

この現場では鉄筋の長さは2~5メートルのものを使用します。
写真は2メートルのものです。

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結構な深さまで通すんですね。

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ちなみに鉄筋に取り付けているこの器具は、スペーサーといって鉄筋を挿入しやすくするためのものです。

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職人さんが鉄筋を運んでいきます。
斜面なのにスタスタ運んでいる姿はとてもかっこいいです!

私も続いて降りていきます。
ロープがないと降りるのが難しいぐらいの斜面。

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鉄筋が入るとその部分を固めるために水を混ぜたセメントを流し込みます。

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あらかじめ決まられた量で水とセメントを混ぜていきます。

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所定のやわらかさを調べるために時間を計り、しっかり検査をします。
この検査は1日の間で何度も行われるそうです。

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鉄筋を入れた穴に水を混ぜたセメントを流し込んでいきます。

流し込んだ鉄筋はこんな感じです。

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一見、固まっているように見えるのですが、しっかり固まるまでに4週間もかかるそうです。

次はここに器具を取り付けます。

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そして最後にカバーを装着して完成!

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こうして法面工事は終了!

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普段、何気なく見ていた法面。
はじめは土砂崩れをした部分の補修だけだと思っていたのですが、六甲山麓の住宅街を守る重要な役割をしていることを知りました。

神戸には山に沿うように住宅が立ち並んでいます。
もし、この法面工事をしていなければ、土砂崩れの際には大被害にあってしまいます。
人々が安心して暮らせるように、さらに緑を植えることにより景観も大切にする。
法面工事は自然と人が共存していくための繋ぎ手の役割を担っていると感じました。

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